小説をAIと一緒に書くとき、地の文まですべて任せるか、全部自分で書くか、どちらかに振れがちです。今回は「セリフだけAIに書かせ、地の文は自分で書く」という分業を実際に試してみました。この記事で分かることは次の3つです。
- セリフだけをAIに任せる分業執筆のやり方
- 実際に使ったプロンプト全文と生成されたセリフ
- うまくいかなかった点と、そこから改善した方法
セリフだけをAIに書かせるメリット
小説をAIと一緒に書くとき、地の文まですべて任せるか、全部自分で書くか、どちらかに振れがちです。地の文で情景や心理を描くのは時間がかかりますが、セリフはキャラクターの個性がそのまま出るぶん、AIに任せると量産しやすい部分でもあります。
そこで今回は、場面設定と人物像だけをAIに渡し、セリフだけを生成してもらい、地の文は自分の言葉で書き足すという分業を試しました。この方法なら、AI特有の説明口調が出やすい地の文を避けつつ、セリフ作りの手間だけを省けるのではないかと考えたからです。
とくに向いていると感じたのは、感情がぶつかり合う対立シーンです。地の文で心理を説明しすぎると、かえってセリフの緊張感が薄まることがあります。セリフだけを先にAIに作らせ、そのあとで必要最小限の地の文を自分で足す順番にすると、説明過多になりにくいと感じました。
実際に試してみた:プロンプト全文と出力
今回試したのは、長年疎遠だった姉妹が、母の緊急入院をきっかけに10年ぶりに再会する場面です。場面設定と人物像だけをAIに渡し、セリフだけを出力してもらいました。
プロンプト:
以下の場面のセリフだけを書いてください。地の文(描写・心の声)は書かず、発言のみを「」で列挙してください。
【場面】
病院の待合室。10年疎遠だった姉妹が、母の緊急入院の連絡を受けて偶然同時に到着する。
【人物】
姉・美和子(38):長女として家族の世話を一人で背負ってきた。妹への不満を溜め込んでいる。
妹・のぞみ(34):10年前に家を出て、めったに連絡を取らなかった。罪悪感がある。
セリフは6〜8個程度で、再会の気まずさから徐々に本音がこぼれる流れにしてください。
生成された出力(抜粋)は次のとおりです。
「……来たんだ」
「連絡もらったから」
「連絡、しなくてもいつも見てたけど」
「ごめん」
「謝ってほしいわけじゃない」
「じゃあ、何なの」
「……何年、私が一人でやってきたと思ってるの」
「わかってる。わかってるつもりだった」
一読して悪くはないのですが、AIが書いたと分かる特徴がありました。「わかってる。わかってるつもりだった」のように、セリフだけで心情を説明させすぎている点です。地の文がない分、セリフに感情の説明を詰め込みすぎて、逆に不自然になっていました。
そこで「セリフの中で気持ちを直接説明しない」よう指示を追加しました。
追加指示:
セリフの中で気持ちを直接説明しないでください。省略や言い淀み、沈黙(……)で気まずさを表現してください。
改善後の出力(抜粋)は次のようになりました。
「……来たんだ」
「連絡もらったから」
「そう」
「……お母さん、大丈夫なの」
「さあ」
「さあって」
「私に聞かれても」
「……」
短いやり取りと沈黙が増えたことで、地の文を足すときに書きやすくなりました。「さあ」や「……」のような間が、地の文で描写する余白を残してくれるからです。
分業執筆で気をつけたい3つのポイント
セリフに感情の説明を入れさせない。「わかってる」のような直接的な感情表現を禁止する指示を入れると、不自然さが減ります。
短いセリフと沈黙を混ぜるよう指定する。間ができることで、地の文を足す余白が生まれます。
人物ごとの背景を先に渡す。背景情報がないと、セリフが没個性になりやすいためです。
セリフだけをAIに任せ、地の文は自分で書く分業執筆は、AI特有の説明口調を抑えつつ執筆時間を短縮できる方法でした。
- セリフだけを任せ、地の文は自分で書く分業も選択肢になる
- 感情の直接的な説明を禁止すると自然なセリフになる
- 沈黙や短い言葉が地の文を書く余白を作る
今書いている小説の一場面で、ぜひこの分業を試してみてください。プロンプトの言い回しを少し変えるだけで、セリフの質は大きく変わります。
より実践的なプロンプト集はnoteのプロンプト集でも紹介しています。あわせてご覧ください。


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